研究紀要 82号


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第82号 2021年1月12日刊行 紀要一覧へ
タイトル 在宅で超重症児を育てる母親の体験 ~中途障害をもつ子供を育てて~
Who Raise Children with Severe Motor and Intellectual Disabilities at Home
~Raising Children with Acquired Disabilities~
著作者 永見 純子・末葭 典子
Junko NAGAMI,Noriko SUEYOSHI
ページ 1-12
概要 在宅で中途障害をもつ超重症児を育てる母親の体験を明らかにし,その支援への示唆を得ることを目的として,母親に半構造化面接を実施し質的帰納的分析を行った.その結果,母親の体験は【障害の宣告による衝撃・悲嘆・否認】【疲労の蓄積による身体的負担感】【精神的負担感と将来への不安】【専門的で個別な超重症児を育てる力の獲得】【ショートステイ利用による利益の実感】【周囲のサポートへの感謝】【ありのままの児を愛する】【育児体験を通して獲得した自己成長】などが抽出された.【ありのままの児を愛する】という思いは,抽出された他のカテゴリにも関連し,影響を及ぼしていくものであり,在宅で育てる母親の体験の源泉にあった思いであると考えられた.
キーワード 超重症児 中途障害 母親 在宅
タイトル 鳥取県方言における傷病・症状語彙に関する記述的考察
Descriptive Study on Vocabulary of Illness and Symptoms in Tottori Dialect
著作者 岡野 幸夫・土居 裕美子
Yukio OKANO,Yumiko DOI
ページ 13-29
概要 鳥取県方言を収録した文献資料に基づいて,傷病・症状を意味する方言語彙を収集し,全体像の把握と記述的考察を試みた.量的には病気語彙が最も多く,症状語彙,感覚語彙がそれに次ぎ,怪我語彙は少なかった.この他に関連するものとして,生理現象や体質,性向などを意味する語彙も比較的多く収集できた.また,病気語彙では漢語由来の語形が多くみられること,症状語彙ではニュアンスの違いに応じて語彙を多彩に分化させていることなどが明らかになった.
キーワード 鳥取県方言 傷病 症状 語彙 文献方言学
タイトル 芸術教育において「表現」とは何か ―作品と感情との関連に着目して―
What Is the “Expression” in Art Education?
―Focusing on the Relation Between Art Works and Feelings―
著作者 前田 舞子
Maiko MAEDA
ページ 31-38
概要 本稿は, 芸術教育における「表現」とは何かを検討するために,グッドマンによる芸術の記号システムに関する議論と,リーマーの美的教育論を整理した.その際に着目したのが,芸術(作品)と感情との関連である.グッドマンの議論では,芸術教育における「表現」は曖昧なものであることが示され,リーマーの美的教育論では,表現されたものと主体との相互作用的な構造が明らかにされた.芸術の教授‐ 学習活動,さらに評価の場面において「表現」をどのように捉え,扱うのか,という問題は,今後も継続して議論されるべきものである.
キーワード 芸術教育 表現 芸術作品と感情
タイトル 子どもの描画表現に関する事例研究 ―概念画にみる人物表現―
Case Study on Children’s Drawing Expressions
―People Expression Seen in Conceptual Drawings―
著作者 宮﨑 百合
Yuri MIYAZAKI
ページ 39-47
概要 子どもの描画表現には「概念画」と呼ばれるパターン化された絵を繰り返し描く時期があるが,これまであまり評価されてこなかった.そこでこの「概念画」について一人の女児の絵を継続的に観察した.その結果,同じように見える絵の中にも子どもの探求心があり,好きなものを描く楽しみ,友だちとつながる喜びなど「真に自分のための自由な表現」が表されていることがわかった.このことから,「概念画」は子どもの絵画表現としてもっと評価されるべきだと考える.
キーワード 描画発達 人物表現 概念画 子どもの絵 知的リアリズム 視覚的リアリズム
タイトル  鳥取短期大学司書課程修了生の意識調査
A Survey on Tottori College Librarian Training Courses Graduates’ Current
Status andTheir Opinions                                          
著作者 長岡 絵里佳・吉田 恵・河﨑 和穂・中島 久美子・中谷 昇
Erika NAGAOKA,Megumi YOSHIDA,Kazuho KAWASAKI,Kumiko NAKASHIMA,
Noboru NAKATANI
ページ 49-62
概要 鳥取短期大学司書課程修了生の就労状況や家庭環境など現在の状況,司書課程や司書資格についての意識を調査し,司書課程の学びや司書資格の意義について考察した.修了生の多くは鳥取県内の多様な分野で活躍し,司書資格や司書課程の学びは直接就職につながらなくても,取得者の支えになり,生活の多様な面で活かされていることがわかった.
キーワード 司書課程 修了生 卒業生 キャリア 図書館 授業改善
タイトル 〈研究ノート〉
生活学科情報・経営専攻におけるアクティブラーニングの取り組み(1)
―コロナ禍におけるグループワーク学習の取り組みを中心に― 
Practice of Active Learning in the Course of Information and Management(1)
―Focusing on a Match of Group Work Learning During the COVID-19 Pandemic―                          
著作者 藤本 直子・野津 伸治・三沢 英貴・植木 洋
Naoko FUJIMOTO,Shinji NOTSU,Hidetaka MISAWA,Hiroshi UEKI
ページ 63-69
概要 鳥取短期大学生活学科情報・経営専攻では社会人基礎力を育成するため,各授業において到達目標を設定し,カリキュラムを編成している.特に,1 年次前期において学生に身につけさせたい力が「チームで働く力」である.そのため,複数の科目においてグループワークを導入している.しかしながら,2020 年度においては,新型コロナウィルス感染症拡大により,従来のグループワーク形式をとることが困難になったことから,各授業において新型コロナウィルス感染症対策をとりながら教育の質保証をめざした.
キーワード 社会人基礎力 グループワーク コロナ対策
タイトル 〈研究ノート〉
同人誌『意匠』と倉吉の民藝運動
The Local Zine Isho and Mingei Movements in Kurayoshi                             
著作者 渡邊 太
Futoshi WATANABE
ページ 71-83
概要 本稿では,1946 年から1948 年にかけて発行された同人誌『意匠』に着目し,当時の倉吉における民藝運動の雰囲気を探る.『意匠』は郷土の正しい工藝を育むことを目指して,徳吉英雄による私刊として発行された.『意匠』の同人は精力的に活動し,雑誌刊行と並行して民藝店を運営し,生活と芸術を結ぶ実践に取り組んだ.また,背景として砂丘社の活動との影響関係も窺え,芸術活動の集合性という特性が示唆された.
キーワード 民藝 倉吉 徳吉英雄 長谷川富三郎 砂丘社
 タイトル  〈資料〉
臨地実習施設の実習調整担当者が考える地域コーディネーターの現状と課題
The Role and Function of the Local Training Coordinator Considered by the
TrainingCoordinator of the Clinical Training Facility                       
著作者 前田 陽子・前田 隆子・田中 響・矢倉 紀子・出石 幸子・荒井 優・高田 美子
Yoko MAETA,Takako MAEDA,Hibiki TANAKA,Noriko YAKURA,
Sachiko IZUISHI,Masaru ARAI,Yoshiko TAKATA
ページ 85-95
概要 平成28・29 年度の2 年間に,A看護大学の実習生を受け入れた臨地実習施設の実習調整担当者7 名に,半構成的面接を行い質的帰納的方法で分析した結果,155 個のコードより「役割の具体」「地域コーディネーターへの希望と課題」「将来の見通し」の3 個のコアカテゴリーが抽出された.本調査により,臨地実習施設の実習調整担当者が考える地域コーディネーターの現状,および,今後の課題が導き出された.
キーワード 臨地実習 調整担当者 コーディネーター 課題

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