学長・教授 松本 典子

1.教育に対する責任

私は本学において、幼児教育保育学科の専門教育科目のうち、幼稚園教諭免許および保育士資格にかかわる体育分野関連の科目を担当し、幼児期の運動指導理論および実技を中心に指導している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2023」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 幼児期の運動内容を工夫・創造する力を養う
2) 運動指導に必要な示範技術と伝える力を向上させる
3) 他と協力して課題を克服しようとする態度を育む

3.教育の方法

 上述の教育理念を達成するため、次のような授業を行っている。
 1年次前期「体育Ⅰ」では、幼児期の運動内容と展開方法を、主に実技を通して体験し習得させている。本科目では授業の大半を班(学籍番号順、7名程度)によって活動し、一部には共同での練習が必要となる運動課題を設定している。
 本課題では、互いに教えあいながら繰り返し練習することや苦手なことから逃げず謙虚に努力することの必要性を学び取らせ、あわせて課題の達成により自身の資質に自信をもてるよう指導している。また、毎時の体験した運動内容や留意事項を記録する「実技ノート」の作成を課し、評価に加えている(実技試験80%、実技ノート20%)。運動指導には実技能力だけでなく創意・工夫できる力や表現力が必要であること、そのために授業において実技のやりっぱなしではなく、学んだ事柄やアイデアを蓄積していく習慣が役立つことを伝えている。
 1年次後期「子どもの運動指導法」では、講義に加えて模擬指導演習(クラスを2分割し1時間4チーム模擬指導×3時間)を組み入れ、運動展開についてより具体的に学べるようにしている。
 模擬指導演習は、個人によって異なる課題にそった指導計画案を作成し、同じ課題が割り当てられた3~4名程度がチームとなって、作成した指導計画案にそって模擬指導を行うもの(1名指導者、1名補助、2名記録)。演習終了時には模擬指導に対しての意見交換を行い授業担当者から講評も行っている。記録係がその内容を一定の様式にまとめ、授業担当者がチェック(必要な場合は追記)をして全チーム分を配布している【模擬指導演習の記録一部抜粋】。指導法に関する技術的な事柄だけでなく、事前準備やチームの協力体制の必要性に気づかせるよう配慮している。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2021年度の前期「体育Ⅰ」の授業評価アンケートにおいて、各項目4段階(4点満点)評価で11項目の結果が3.3~3.8であった。得点そのものに大きな変化はみられないが、2年前と異なる結果となったのはb「予習・復習の取り組み」である。前回はこの項目だけが他と比べて明らかに低く、予復習に力を入れていないことが見て取れる結果であった。その後2020年度のシラバスから事前事後学修の内容を具体的に示すように更新された。「体育Ⅰ」は実技ノートの作成が予復習のほとんどであることもあり、取り組みやすくなったことが改善理由の1つではないかと考えられる。
後期「子どもの運動指導法」は同じ演習科目ではあるが応用科目であり、模擬指導演習や指導計画案の作成に力を入れさせるため、理論的な講義も時間的ウエイトを占めるようになる。すると学生は少しずつ難しさを感じるようになり、それが授業評価アンケートの結果となってあらわれており、得点は3.2~3.6とやや低い。こうした主要科目において興味をもたせ力を伸ばして学生の満足度を高めるようにすることが担当者の課題であり、工夫改善の余地があると感じるところである。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修をはじめFD・SD合同研修やSD研修にも欠かさず参加するとともに、学外でのFDに関する研修にも参加して教育改善に向けたヒントを得るよう努めている。
 授業においては、前述の「実技ノート」や後期の「指導計画案」の出来栄えが、授業への取り組み意欲や授業の成果を判断する1つの指標になると考えている。そして、これらは個々の学生に担当者の意図を直接的に伝えられるものでもあるため、丁寧に点検し添削して返却することを心がけている。後期の指導計画案の添削と模擬指導演習の実施にあたっては、2名の授業担当者(1名は模擬指導演習時のみ担当)で手分けして行うため、事前に十分な意見交換と打合わせを行うようにしている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 学生の運動体験の拡大と示範技術の向上、理論の学修により、学外実習における設定保育等に運動活動を積極的に導入できるようにさせる
  2. 他領域とも連携した模擬指導演習の充実により、学生の保育的視点を深化させる
2) 中・長期的な目標
  1. かな体験による「やればできる」自信の獲得あらゆる面で経験不足による自信のなさの感じられる学生が多い。授業をはじめ学生生活全体を通してリーダーやまとめ役、人前でのプレゼンテーションや発表などの機会を設け、意欲的、積極的に取り組むことにより、やればできる自身の力に気づかせたい。
最終更新:令和4(2022)年6月22日

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