教授 近藤 剛

1.教育に対する責任

私は、本学幼児教育保育学科所属しており、主に同学科の保育士資格や幼稚園教諭二種免許状取得における健康、運動分野に関する科目を担当する専任教員である。また、スポーツ・健康科学領域の中でも、特に野外教育学やレクリエーション学という「他者」との関係を意識する専門性を活かし、全学共通教養科目のスポーツ関連科目、人間関係ならびにコミュニケーション能力の獲得を目指す他学科専門教育科目についてもオムニバスによる部分担当をしている。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2023」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 保育者として必要な基本的知識、技術の伝達
2) 実社会を意識した理論と実践の提供
3) 自ら考え、学び取り、自ら行動する力の醸成

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、授業時の「実践」「事例」を通して、他者と学び合い、多くの「気づき」「実践根拠」を得て、現場に活かすための「実践方法」を獲得する過程、つまり、体験学習サイクルを意識した授業展開を実践している。この体験学習サイクルは、幼児期をはじめ、現在の学習指導要領のキーワードである「主体的・対話的で深い学び」「アクティブ・ラーニング」につながるものであり、保育・幼児教育を専攻する学生たちには、学生本人の確かな学びを促進させる手法として、有効であると考える。
その為に、授業場面を「コンテンツの提供する機会」としてのみとらえるのではなく、「学び方を学ぶ場所、自己成長の機会」としてとらえ、特に「チャレンジ」する機会の提供を心掛けている。人間は成功体験を蓄積することによって、自信につなげ、自己成長する生き物である。筆者自らの研究結果においても、重い荷物を背負った登山などの困難体験が参加者の自己概念の向上を促す結果を得ている。大学での教育においても、この方法論を用いることで、学生の自己改革、自己成長を促進させることが可能だと考える。ただ、チャレンジといっても、恐怖におののくような大自然での冒険のみを指すわけではなく、「授業中に手を上げて発言する」「いつもなら苦手なことを避けて通らず、取り組んでみる」「リーダーに任命された際、イニシアティブをとる」など、身近な生活や活動の中にも存在している。個人のチャレンジレベルを把握しながら、適切な支援の下、チャレンジできる環境や課題を提供することにより、自信につなげて欲しいと考えている。
また「気づき」を促す「振り返り」「シェアリング(分かち合い)」「協議」の時間の確保を心掛けている。授業実践を通じて得られた具体的な体験の中にある学びに気づかせるために、専用用紙あるいはコメントによる振り返る時間を設定し、得られた学びの一般化(次の機会へのフィードフォワード)をねらっている。そして、これらの内容を他者と分かち合うことにより、自分では気づけなかった点に気づく機会となるとともに、複数の人間の前で自己表現する機会の確保にもつながる。毎回の授業を通じて、何らかの形でこれらの時間が取れるように心がけている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2021年度の授業評価アンケートにおいては、「保育内容(健康)」(1年前期)の評価では、授業に対する総合的な満足度(項目d)をはじめ、ほぼすべての科目において、概ね90%前後の肯定的評価を得ており、学生の満足度も高く、積極的に受講することができたようであった。ただし、シラバス内容や到達目標とのズレを問う項目(項目k、l)においては他の項目に比べ、否定的な回答が増えている点は、反省の予知がある。新型コロナウィルス感染症対策に伴う遠隔授業の導入に伴う対面授業と同等の質の担保など、今後の課題としたい。
「実践スポーツ」(前後期開講)、「レクリエーション概論」(1年後期)、「レクリエーション指導演習2」(2年後期)については、例年、「楽しい体験」が教材として用意されている授業科目でもあり、今年度も肯定的評価が概ね8割以上を占めてはいる。2019年度の実践スポーツの評価において確認された授業科目への参加意欲(項目b)、授業満足度(項目e)、教員の説明や指示(項目f)、授業の進度(項目k)での否定的評価が減少している。冬季における低温下での実践等、実施条件の悪さなどへの対応として、参加学生側への協力を求めつつ(防寒具等の準備等)、実施種目・実施場所の再検討(空調の整った学外施設での展開、天候等に応じた内容変更)に取り組んだ成果と言えるであろう。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には参加を心掛け、学内FD活動の一環として実施される授業公開・見学にも積極的に参加している。また、自身の遠隔授業の取組みを事例発表するなど、全学的なFD活動に対しても積極的に協力している。
大学として実施する授業評価アンケートでは、把握しにくい「実践スポーツ(山野実習、雪上実習)」では、独自の授業評アンケケートを実施し、授業改善の一助としている。さらに自らの授業内容や方法へ活かすべく、他大学の授業見学(参加)を実現し、自己研鑽に努めている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 学生の主体的な学びにつなげる事前事後学修の検討
  2. 学生の興味関心を引き出す学習教材の開発
  3. 学びの連環を意識した有機的な科目間連携
2) 中・長期的な目標
  1. 理論と実践の融合を目指す、附属こども園との連携強化
    指導体験の機会を全学生に提供するためのシステムづくりを附属こども園と連携して開発したい。可能であれば、これらの活動を単位化することを考えたい。
最終更新:令和4(2022)年6月30日

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