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[松本学長通信No.9] マスクで過ごした2年間

マスクで過ごした2年間
みなさま、こんにちは。
構内にかたく残っていた雪の塊もようやく解け、建物外に出たときの触れる空気にも春の気配が感じられるようになりました。

そのようななか本学では来月17日に卒業生、修了生を送り出します。この学年のほとんどは、高校から続くコロナ禍により大きな行事が軒並み中止となるなど、さまざまなことに不本意な状況のままあきらめざるを得なかった学生たちです。本学に入学してからもコロナ禍はいっそう厳しくなり、不安と恐れを伴った先の見通せない不安定な状態が続きました。学内では、社会の感染状況に影響を受けながら、授業や行事において予定や計画を何度も変更したりWeb授業に切り替えたりなどの対応が求められました。

日常のほとんどをマスク着用で過ごすため、同じクラスのメンバーでも互いの顔をはっきりとは覚えられていないと思われます。私など、授業を担当している学生でも逆に食堂でマスクを外しているとそうと気づけず戸惑うことがあります。おそらく学生たちも同じで、こちらの顔をあまり認識することもなく、今後どこかで出会っても互いに気づけないまま素通りすることになるのだろうかと思うと、なんとも淋しく感じます。

しかしながら、そのような理不尽な状況のなかでも気持ちを奮い立たせ、予定通りにできない行事には「できることを探し、できる方法で実践しよう」と前向きな姿勢を示す学生がいました。周囲の学生たちを巻き込みながら前へ進もうとする頼もしい姿です。そうした姿が傍にあると、周囲は勇気づけられ、みんなでなんとかしようとする力にかえていきます。

短大生活をこのようにどっぷりとマスクで過ごした学生たちは、今後他の学年とは少し異なる様相を呈することになるのかもしれないと感じます。一つには、顔のはっきりとは分からないままの表面的な人間関係の希薄さとは違って、さまざまな状況に葛藤しながらも気持ちに折り合いをつけ、前に進もうとする逞しさをこれまで以上に養ってきたと思うからです。そうして芯の強さを持ち合わせながら自然に人と繋がる力も育んでいるのではと見ています。そうだとすると、それを強みにぜひ今後の人生に役立て、自信をもって前向きに進んでいってほしいと願います。
鳥取短期大学
学長 松本 典子
(2023年2月20日 記)
 

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