学長・教授 松本 典子

1.教育に対する責任

私は本学において、幼児教育保育学科の専門教育科目のうち、幼稚園教諭免許および保育士資格にかかわる体育分野関連の科目を担当し、幼児期の運動理論および実技を中心に指導している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 他と協力して課題を克服しようとする態度の醸成
2) 幼児期の運動内容を工夫・創造する力の育成
3) 運動指導に必要な示範技術と伝える力の向上

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、次のような授業を行っている。
1年次前期「体育Ⅰ」では、幼児期の運動内容と展開方法を、主に実技を通して体験し習得させている。本科目では授業の大半を班(学籍番号順、7名程度)によって活動し、一部には共同での練習が必要となる運動課題を設定している。
本課題では、互いに教えあいながら繰り返し練習することや苦手なことにも謙虚に努力することの必要性を学び取らせ、あわせて課題の達成により自身の資質に自信をもてるよう指導している。また、毎時の体験した運動内容や留意事項を記録する「実技ノート」の作成を課し、評価に加えている(実技試験80%、実技ノート20%)。運動指導には実技能力だけでなく創意・工夫できる力や表現力が必要であること、そのために授業において実技のやりっぱなしではなく、学んだ事柄やアイデアを蓄積していく習慣が役立つことを伝えている。
1年次後期「子どもの運動指導法」では、講義に加えて模擬指導演習(クラスを2分割し1時間4チーム模擬指導×3時間)を組み入れ、運動展開についてより具体的に学べるようにしている。
模擬指導演習は、課題(個々に割り当てられた種目)にそった指導計画案を作成し、同じ課題種目になった2~3名がチームとなって、作成した指導計画案にそって模擬指導を行うもの(1名指導者役、1~2名補助・記録係)。演習終了時には全員で模擬指導に対しての意見交換を行い授業担当者から講評も行っている。記録係がその内容を一定の様式にまとめ、授業担当者がチェック(必要な場合は追記)をして全チーム分をまとめて配布している。指導法に関する技術的な事柄だけでなく、事前準備やチームの協力体制の必要性に気づかせるよう配慮している。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

以前(2019年度)の授業評価アンケートでは、各項目とも4「あてはまる」3「ややあてはまる」をあわせると90%以上となるなか、b「予習・復習への積極的な取組み」が前後期の両科目とも72%程度と、他の項目に比べ明らかに評価が低かった。この傾向は演習科目全体においても認められたため、学生たちに授業理解を深める予復習の意味を認識させ、意識して取り組めるよう指導する必要性を感じていた。2020年度のシラバスより事前事後学修が具体的に示されるようになり、その効果や変化に期待するところが大きかった。2024年度前期の演習科目全体では、上記の同項目が84%となっており、全学的には改善が図られてきているように見受けられる。
しかしながら2024年度後期の「子どもの運動指導法」は、b「予習・復習への積極的な取組み」が74%であり、以前とあまり差が見られなかった。本科目では、前述の模擬指導演習に入る前に運動を理論的に理解することを求め、そのためには復習することを是としているが、この部分の理解が十分に進まない実態がある。この試験などの理解度と授業評価の結果から考えられるのは、学生が自分のそれまでの体験や経験によってのみ運動を捉える傾向が強く(それはそれで必要ではあるが)、理論や知識を得なくてもあるいは十分に理解できなくても分かっているつもりになってしまうのではないかということである。予復習に取り組ませるためのさらなる工夫の必要性が感じられるところである。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修をはじめ、FD・SD合同研修やSD研修にも欠かさず参加するよう努めている。これまでの研修から、過剰な授業内容にならないよう留意する必要があると感じている。
授業においては、前述の前期「実技ノート」や後期の「指導計画案」の出来栄えが、授業への取り組み意欲や授業の成果を判断する1つの指標になると考えている。そしてこれらは個々の学生に担当者の意図を直接的に伝えられるものでもあるため、丁寧に点検し添削して返却することを心がけている。また授業時の学生の意見の聴取や質疑応答の時間があってよかったとする授業アンケートの記載が複数からあったことより、そうした教員とのやりとりの時間を学生が求めていることも感じとれる。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 運動体験の拡大と示範技術の向上、理論の学修により、学生が学外実習の部分実習等において運動活動(遊び)の指導計画案を積極的に試すことができるようにする
  2. 他領域とも連携した模擬指導演習の充実により、学生の保育的視点を深化させる
2) 中・長期的な目標
  1. あらゆる面で経験不足による自信のなさが感じられる学生が多い。授業をはじめ学生生活全体を通してリーダーやまとめ役、人前でのプレゼンテーションや発表などの機会を設け、意欲的、積極的に取り組むことにより、「やればできる」自身の力に気づかせたい。
最終更新:令和7(2025)年8月10日

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