准教授 長岡 絵里佳

1.教育に対する責任

私は本学において、主に地域コミュニケーション学科と生活学科情報・経営専攻、住居・デザイン専攻の学生を対象とした司書科目と、地域コミュニケーション学科専門教育科目の学校司書に関する科目および交流に関する科目を担当している。
司書科目は、各学科・専攻の専門教育科目とは異なり、特別科目に位置付けられる。そのため、主たる担当教員として、本学での司書科目のめざすべき方向性を考え、科目間の連携をすすめ、担当教員間の交流を促進している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 図書館や司書に関わる今日的な課題についての知識と理解を深めること
2) 人と接する仕事に適したコミュニケーション力を身につけること
3) 地域社会の担い手として活躍しようという意欲・態度を身につけること

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、例えば、1年次前期の「図書館概論」は、無料の原則、都道府県立図書館の役割、図書館の自由、指定管理者制度、図書館司書の雇用問題などについて、新聞記事や雑誌記事、統計資料などを用いて紹介している。具体的な事例や雑誌記事論文の著者の意見をもとに、学生が自分の意見を考え、グループ活動で発表したり、他の学生の意見を聞いたりし、考えを深めたり広げたりできるようにしている。毎回の小テスト、グループ活動のワークシートや振り返り、DVD等の感想など、書く機会を増やすようにしている。また、早い段階で、倉吉市立図書館に見学に行き、実際の図書館業務について理解すると同時に、地域の図書館利用をすすめている。また、司書科目のなかで最初に学ぶ科目であるため、司書資格の取得方法や必要な単位数、将来の進路などについて、司書科目独自に作成したカリキュラムツリー「司書になるにはガイド」パンフレットを活用して説明に役立てている。
1年次後期の「情報サービス論」では、図書館実習の報告を聞く会や、公務員試験を受験した2年生または卒業生から話を聞くキャリアガイダンスを組み込み、卒業後の進路として司書をめざす学生たちが、より明確な将来像を描くことができるように工夫している。
担当する司書科目全般を通して、グループワークを適宜行い、自分の意見を相手に伝えることを意識させている。さらに、2年次の「図書館サービス特論」では、レファレンスサービスの実践的な力が身につくように、具体的な事例を想定したロールプレイを行っている。ロールプレイ後の振り返りを踏まえ、学生個々人が、レファレンスサービスに必要なコミュニケーション力を考え、自分の現状を客観視し、卒業までにどのような学びをすべきかを自覚できるように工夫している。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2024年度前期の授業評価アンケートにおいては、ほぼすべての科目において全体の平均値より高い結果が出た。授業の総合的な満足度(項目4)をみると、1年次前期の「図書館概論」は3.67、一年前期の集中講義形式の「生涯学習概論」は3.86、(講義科目全体結果の平均3.54)だった。
一方で、事前事後学習の取り組み(項目2)は、「図書館概論」が3.33、「生涯学習概論」が3.5と他の項目に比べて低く、到達目標の達成度(項目3)は、「図書館概論」3.47、「生涯学習概論」もともに3.5と低かった。事前事後学習はテキストやワークシートの活用を試みているが、さらに動機づけを意識させる工夫が必要であり、毎年受講生の様子に合わせて改善を試みている。また、どちらの科目も1年前期の科目であることから、到達目標が適切かどうか見直すとともに、学生たちが達成感を実感できるようなフィードバックの工夫などを検討している。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には欠かさず参加している。また、司書科目に関しては、独自のFDとして、担当教員間の打ち合わせを適宜行ったり、classroom等で情報共有を行ったりしている。また、学外の研修や学会に積極的に参加し得られた知識を授業に活用している。とくに、地域の公共図書館や学校図書館については、情報収集も兼ね、様々なイベントや司書の研修等にできるだけ参加し、「図書館実習」の訪問時に意識的に情報交換をするようにしている。
学生指導に関しては、学生相談室スタッフとして活動する中で、とくに発達障害や学習障害を抱える学生の対応について、研修に参加したり、自ら情報収集したりするようにしている。また、平成30年度にキャリア支援委員としてキャリアガイドブックの全面的な改訂を行った経験から、キャリア教育の視点を取り入れた司書や学校司書の育成に取り組むようになった。また、令和4年度から倉吉東高校の国際バカロレアコースの生徒を対象に実施しているワークショップの内容をもとに、高校の探究支援等に活かすことができる司書の養成を検討しはじめている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 「図書館実習」を軸とした正規の司書をめざす学生へのキャリア教育
  2. 司書科目と学校司書科目の科目間連携の促進(Googleを活用した情報共有の促進)
  3. 司書科目受講生のコミュニケーション能力の向上(ルーブリックの開発等)
2) 中・長期的な目標
  1. コミュニケーションに苦手意識をもつ学生への指導・支援方法の開発
  2. 地域の図書館・学校図書館との連携による教育内容の充実
  3. 社会人向けの学び直しの機会の充実
最終更新:令和7(2025)年8月31日

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