准教授 簡 逸威
1.教育に対する責任
私は、本学において主としてビジネス分野の教育を担当しており、特に「ビジネス文書演習」、「経営学」および「マーケティング」を中心に授業を展開している。また、「基礎演習」「プロジェクト演習」「現代社会論」については、情報・ビジネス系の他教員と協力し、共同で指導にあたっている。なお、情報系の科目については、専門性を有する他教員が担当し、分担して教育を行っている。
2.教育の理念
私が本学の教育活動において重視している理念は、以下の三点である。
3.教育の方法
前述の教育理念の実現を目指し、たとえば2年次前期に開講される選択科目「マーケティング」においては、以下のような教育実践を行っている。
本科目では、マーケティングの理論と実践を統合的に学修する構成となっており、前半ではSTP分析、消費者行動、4P戦略等の基礎理論を理解させるとともに、時事的課題や地域活性化の実例を取り上げ、学生の関心を高めることを目指している。後半では、得られた知見を基にグループディスカッションを行い、鳥取県の特産品を題材としてマーケティング戦略の立案から効果測定に至るプロセスを体験的に学ぶ機会を設けている。
授業の構成は、前半(約60分)を講義形式、後半(約30分)をディスカッション形式とし、さらに次のような事前・事後学修の方策を講じている。
- 授業1週間前に資料および課題を配布し、事前に熟読・課題提出を求める。
- 単なる出席にとどまらず、積極的な理解および議論への参画を重視する。
- 学修成果の確認を目的として、期末には発表を行う場合がある。
成績評価については、以下の3項目を基準として総合的に判断している。
- 授業参加度(積極性・貢献度・受講態度):10%
- 課題発表・レポート:60%
- 期末課題・発表:30%
4.学生による授業評価
2025年度前期に実施された「マーケティング」授業に関する学生アンケートにおいては、「各種教材・教具(テキスト、プリント、ビデオ、パワーポイント等)の活用により授業が分かりやすかった」および「授業内容の進行ペースが適切であった」とする項目において、最高評価値である3.59を記録した。
一方で、「教員の説明や指示は明瞭で聞き取りやすかった」とする項目においては、評価値3.38と最も低い結果となっており、今後、説明および指示方法の一層の明確化が課題であると認識している。
5.教育改善への取り組み
本学におけるFD研修には継続的に参加しており、特に学生から高い評価を得た授業に関する報告等を通じて、他教員の実践を参考にするよう努めている。
毎学期実施される学生による授業評価の結果を踏まえ、評価値の低い項目については反省的に検討を加え、改善方針を策定している。また、年末年始に実施するシラバス作成時には、それまでの改善点および新たに得られた研究成果を反映させることに努めている。
さらに、授業後には毎回ワークシート2を回収し、受講生の意見・コメントに基づき、次回以降の授業内容を柔軟に修正する体制を整備している。また、前回の課題に対して改善がなされたかどうかについて、受講生に確認する機会を設けることで、双方向的な教育の実現を図っている。
6.今後の目標
1) 短期的な目標
- 学生の経営戦略およびマーケティング戦術に関する運用力、特に「企画力」の向上
- 学生との信頼関係の深化
2) 中・長期的な目標
- 地域連携型教育の推進:
ビジネス理論の理解を基盤としつつ、地域課題を主要な教材としてPBLを展開することを目指している。まず、事前学習により基礎的知識を定着させた上で、地域の関係者を講師として招聘し、地域の現況および運営上の課題に関する講話を実施する。その後、現地においてフィールドワークを行い、地域資源の実地調査ならびに当該地域が抱える課題の構造的理解を深める。併せて、情報収集手法、統計資料の読解法、ITスキルの習得にも取り組むことにより、学生の情報活用能力・ビジネス実務能力・社会人基礎力の涵養を図る。最終的には、得られた知見に基づき、学生がグループごとに課題解決策をまとめ、成果発表会を通じて地域社会への知的貢献を実現することを目標としている。
