教授 近藤 剛

1.教育に対する責任

私は、本学幼児教育保育学科所属しており、主に同学科の保育士資格や幼稚園教諭二種免許状取得における健康、運動分野に関する科目を担当する専任教員である。また、スポーツ・健康科学領域の中でも、特に野外教育学やレクリエーション学という「他者」との関係を意識する専門性を活かし、全学共通教養科目のスポーツ関連科目、人間関係ならびにコミュニケーション能力の獲得を目指す他学科専門教育科目についてもオムニバスによる部分担当をしている。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介」

2.教育の理念

私は本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 保育者として必要な基本的知識、技術の伝達
2) 実社会を意識した理論と実践の提供
3) 自ら考え、学び取り、自ら行動する力の醸成

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、授業時の「実践」「事例」を通して、他者と学び合い、多くの「気づき」「実践根拠」を得て、現場に活かすための「実践方法」を獲得する過程、つまり、体験学習サイクルを意識した授業展開を実践している。
この体験学習サイクルは、幼児期をはじめ、現在の学習指導要領のキーワードである「主体的・対話的で深い学び」「アクティブ・ラーニング」につながるものであり、保育・幼児教育を専攻する学生たちには、学生本人の確かな学びを促進させる手法として、有効であると考える。
その為に、授業場面を「コンテンツの提供する機会」としてのみとらえるのではなく、「学び方を学ぶ場所、自己成長の機会」としてとらえ、特に「チャレンジ」「アドベンチャー」する機会の提供を心掛けている。人間は成功体験を蓄積することによって、自信につなげ、自己成長する生き物である。筆者自らの研究結果においても、不安や困難な待ち受ける体験を乗り越え達成することにより、参加者の自己概念の向上を促す結果を得ている。大学での教育においても、この方法論を用いることで、学生の自己改革、自己成長を促進させることが可能だと考える。ただ、チャレンジといっても、恐怖におののくような大自然での冒険のみを指すわけではなく、「授業中に手を上げて発言する」「いつもなら苦手なことを避けて通らず、取り組んでみる」「リーダーに任命された際、イニシアティブをとる」など、身近な生活や活動の中にも存在している。個人のチャレンジレベルを把握しながら、適切な支援の下、チャレンジできる環境や課題を提供することにより、自信につなげて欲しいと考えている。
また「気づき」を促す「振り返り」「シェアリング(分かち合い)」「意見交換」の時間の確保を心掛けている。授業実践を通じて得られた具体的な体験の中にある学びに気づかせるために、専用用紙あるいはコメントによる振り返る時間を設定し、得られた学びの一般化(次の機会へのフィードフォワード)をねらっている。そして、これらの内容を他者と分かち合うことにより、自分では気づけなかった点に気づく機会となるとともに、複数の人間の前で自己表現する機会の確保にもつながる。毎回の授業を通じて、何らかの形でこれらの時間が取れるように心がけている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2024年度の授業評価アンケートにおいては、「保育内容(健康)」(1年前期)の評価では、授業に対する総合的な満足度(項目d)をはじめ、ほぼすべての科目において、概ね90%前後の肯定的評価を得ている。ただし、シラバス内容や到達目標とのズレを問う項目(項目k、l)においては他の項目に比べ、否定的な回答の割合が多く、今後の課題としたい。
本学のR5年度ティーチング・アワード表彰の受賞科目でもある「実践スポーツ」(前・後期開講)をはじめ、「レクリエーション概論」(1年後期)、「レクリエーション指導演習2」(2年後期)は「楽しい」をキーワードとする学習内容・体験が教材として用意されている授業科目でもあり、例年、肯定的評価が概ね8割以上を占める。
HP記事 令和5年度前期ティーチング・アワード受賞者が決定しました

5.教育改善への取り組み

令和5~6年度のFD委員会委員長を拝命し、本学教職員対象のFD活動の企画立案に従事した。この間、大学全体の教育の質保証を目指し、学外での関連研修に積極的に参加し、その情報収集に努め、大学への還元に努めることを心掛けた。またPDCAサイクルに則ったFD活動の工夫改善を意識し、形骸化を食い止めるべく、授業評価アンケートの評価方法、授業公開・見学方法などの改善に努め、さらには学内教職員のニーズを吸い上げる形での研修活動を企画し、その運営にあたった。
これらの経験は、個人の教育改善意識にもつながり、現在はICTツールを用いた事前事後学習を導入し、その学習の理解度の向上を目指している。また、大学として実施する授業評価アンケートでは把握しにくい「実践スポーツ(山野実習、雪上実習)」において、独自の授業評価アンケケートを実施し、授業改善の一助としている。さらに自らの授業内容や方法へ活かすべく、他大学の授業見学(参加)を実現し、自己研鑽に努めるなど、学生の学ぶ意欲を高め、より高い教育効果を得るための創意工夫を試みている。
R6(2024)年FD委員会 活動報告書

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 学生の主体的な学びにつなげる事前事後学修コンテンツを活かした学びの深化
  2. 現場経験の提供による実践力強化
  3. 学びの連環を意識した有機的な科目間連携による効果的な学習の展開
2) 中・長期的な目標
  1. 附属こども園との有機的連携によるよりリアルな学習機会の獲得
  2. 学修成果の可視化を目指す「保育者としての必須スキルリスト」の作成
最終更新:令和7(2025)年8月30日

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