准教授 菅田 理一
1.教育に対する責任
私は本学において、主に福祉系の教育を担当しており、その中でも特に社会的養護を中心に教育している。また実習科目のうち、他の保育系教員ともに保育実習を担当するとともに、施設実習関係科目を中心に担当し、教育している。教育全体に、地域社会福祉史を踏まえることにしている。
2.教育の理念
私は本学の教育活動において、以下の3点を重視している。
3.教育の方法
上述の教育理念を達成するため、例えば2年次前期の選択必修科目「社会的養護Ⅱ」では、次のような授業を行っている。
この科目では、福祉現場に関する過去、現在、未来に関する資料を読み、その内容を理解しまとめることを通し、現場の課題について自ら考える力を養うことにしている。また、理解した内容をグループで議論することを通し、視野を広げ、自分の考えを他者に説明する力を伸ばすことも狙いとしている。
使用する資料は、「子どもの権利擁護」「里親支援とその歴史」「福祉施設と地域社会」「自立支援とアセスメントの技術」など、幼児教育保育専門職として身に着ける必要があり、且つ今後の保育現場で応用すべきものを選んでいる。また、授業を通し、異なる価値観を受け入れる力、他者を尊重する力を身につけ、グループの中で発言できるようにし、本学科の全体の学びにつなげることを意図している。
近年の学生の気質を考慮し、授業で取り組む内容とその意義について十分な説明を行い、テーマごとのワークシートを配付することによって「何をどのように取り組めば良いか」を学生が具体的にイメージできるよう工夫している。
成績評価は、提出物50%、レポート40%、および授業での積極性10%を合計して行っている。
4.学生による授業評価
2025年度前期の授業評価アンケートにおいて、平均値となっている項目多いが低い項目については授業改善に取り組んでいる。
授業に対する総合的な満足度(項目d)の値は、1年次前期の選択必修科目「情報科学」で3.33(講義全体の平均3.54)、2年次前期の選択必修科目「社会的養護Ⅱ」で3.5(講義全体の平均3.54)であった。前者については、後期の実習科目との関連を意識できるような配慮を、後者については卒業後の進路において役立つことを意識できるよう配慮する展開となるよう授業改善に取り組みたい。併せて、資格取得を目指さない学生の履修にも対応できるよう、一般知識としても福祉制度に興味を持って取り組めるような授業展開とする必要も生じているので、これに対応する。
また、学生が授業時間外の学習にあまり取り組めていないことについても注目する必要がある(項目b)。「社会的養護Ⅱ」では3.22(講義全体の平均3.26)であった。授業内容に興味を持ち、授業時間外にその興味を広げていけるような教育力を身につけたい。
5.教育改善への取り組み
教員個人としては、教務課から返却される授業評価アンケートの結果を受け、その期の授業について反省を加えている。また、毎年の年末年始にかけてシラバスを執筆し提出しているが、この時に次期の授業をどうするか、それまでに研究等で得られた新たな知見を取り込んだシラバスとなるように努めている。
学生から提出を受けたワークシートについては、テーマごとの理解度を確認の上、次回以降の授業の改善、さらに発展的な内容を補足的に講義し、学生の興味を喚起するよう工夫している。
6.今後の目標
1) 短期的な目標
- 学びやすいワークシートや教材、資料の作成
- 科目間の連携(学修内容の他の科目とのつながりを意識できる授業展開)
- 授業時間外の学習を促すための課題設定の見直し
2) 中・長期的な目標
近年は、自信がない、意欲を持てないという学生も見られる。自らの可能性に気づき、まずは学びを少し進め、社会人として、共生社会づくりをリードしていけるようになってもらいたいと考えている。
前述の短期的な目標を目指すとともに、講義や演習、さらにクラス活動など、学科の学び全体を通し、自らの可能性に気づき、成長につなげてもらえるよう工夫したい。


