准教授 津上 崇

1.教育に対する責任

私は本学において主に音楽に関する授業を担当している。その中でも特に「音楽を楽しみ、伝える」「表現する」など演習を多く取り入れ、保育士養成課程および教職課程における音楽関連科目の音楽教育に力を注いでいる。全学科教養科目では「芸術」を担当し、学生の幅広い知識を得るような講義をおこなっている。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介」

2.教育の理念

私は本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 保育現場で必要な音楽の基礎的理論の理解と技術の習得
2) 音楽を通して幅広い芸術的感性を育む
3) 自ら考え、創造し、応用できる力の育成

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、例えば1年次「音楽Ⅰ」においては、学生が多様な楽曲に親しみ、声を出すことを通して「歌うこと」への基盤を培うことを重視した。さらに2年次「保育内容(表現)」では、音楽のみならず造形・身体表現を含めた総合的な表現活動を展開し、学生自身の感受性や表現力の育成を試みた。近年、保育者養成課程に入学する学生の多くが、童謡やわらべ歌といった「子どもの歌」に十分に親しんでおらず、音楽的基礎経験の不足にある。また、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、学校現場や地域において「歌を歌う機会」が大幅に減少した。その結果、歌唱による自己表現への抵抗感や、発声に必要な身体感覚の弱体化が顕著となっている。保育者にとって音楽は、技能の巧拙にかかわらず、子どもと共に表現を楽しみ、共感し合うための重要な手段である。「歌うこと」を出発点とし、総合的な表現活動へと展開することで、学生自身が表現を楽しみ、仲間と共有し、考察する姿勢を育むようにしている。学生が保育現場で自らの表現を子どもに還元できるよう、授業と実習をつなぐ指導を充実させていきたい。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2025年度前期の授業評価アンケートにおいては、全体の平均値と同等か高い結果が出た。
2年次前期の「保育内容(表現)」では<事前事後学習の内容を基に予習・復習に取り組む>が3.20(演習全体平均3.26)となり授業外での学習ができていない結果になっている。Googleフォームなどを使用し授業内容の振り返りができる工夫が必要だと感じる。定期的な実施により、学習習慣化をさらに促進していく必要がある。<教員の説明や指示は明瞭で聞き取りやすかった>が3.8(演習全体平均3.5)、<各種教材・教具の活用により、授業が分かりやすかったか>は3.73(演習全体平均3.58)と比較的高い数値を得た。これからもパワーポイントや動画など、わかりやすい資料作りを心掛けたい。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修や授業公開見学には可能な限り参加し、本学教員としての授業向上に努めている。音楽実技、表現といった演習系の授業では学生の進度の差が大きい。おもに授業以外での自己練習時間の確保、個人での楽器の有無なども関係するが、まずは自らが進んで実践に持っていける授業内容にするため教材研究を行なっている。私自身も「何を表現するのか」「何を聴きてに伝えたいのか」ということを常に考え、実技レッスンや講習会に参加、演奏会の実施などで技能を高め、授業に活かすよう努力している。授業では言葉での説明に加えプロジェクターを用い図や動画などで要点を示すなど視覚からも学生が考えられるよう工夫している。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 学生の「子どもの歌」の認知度をあげ、自ら演奏できるレパートリーを増やす授業をする。
  2. 学生が「表現する」についての理解を深め、保育者としての表現力を引き出すことができるようにする。
2) 中・長期的な目標
  1. 音楽表現を活用し、保育現場や地域との連携をはかり実践できるようにする。
  2. 保育者として自らが見聞を広げ学び(input)、子どもたちや地域の方に表現する力(output)を育成できるような授業を作り上げる。
最終更新:令和7(2025)年8月26日

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