助教 仙田 真帆
1.教育に対する責任
私は本学において、主に教育学系の教育を担当している。本科においては、「教育原理Ⅰ・Ⅱ」「保育・教育課程論」等、教育の基礎的理論を扱う科目を担当している。専攻科においては、「教育学特論」を担当している。いずれも本学の定める専門教育科目に位置づけられる。また、教育実習の指導にも携わっている。
2.教育の理念
私は本学の教育活動において、以下の3点を重視している。
3.教育の方法
上述の教育理念を達成するため、例えば2年次前期の選択必修科目「教育原理Ⅰ」は、以下の3点に留意して進めている。
まず、「学生にとって身近な事例を提示すること」である。教育原理は、歴史や制度を始め学習の視点が多岐に渡る。学生の様子から、彼らの抱く保育・幼児教育現場のイメージと、学習事項とが直接的にリンクしていない雰囲気も見て取れる。そこで、授業では実践現場の具体的事例をあげたり、「自分ならばどうするか」といった問いを示したりしながら、学生が学習事項を自分自身に引き寄せて捉えられる機会を設けた。(2.教育の理念1)に該当)
次に、「学生が互いに自らの考えを表出する機会を設けること」である。教育原理は受講者が50名以上の講義形式の科目である。学生自身が自身の考えを確かめたり、多様な考えに触れてより思考を深めたりできるよう、協同学習の考えに基づき適宜様々な学習形態を取り入れた。例えば、一人ひとり順番に発言する、お互いにインタビューをする、アイスブレークを取り入れる、などである(2.教育の理念2)に該当)。
さらに、「授業ポートフォリオを作成すること」である。授業の最後に、学生が自身の学びを総括してポートフォリオを作成することにより、学生自身の省察を促すきっかけとした。また、ポートフォリオに教員がコメントを書き込むことで個々の学生の課題意識に対応できるようにしたり、次回の授業の冒頭でいくつか提示してコメントし、少し議論を加えるなどしながら、新たな問いや考えへとつなげた。(2.教育の理念3)に該当)
成績評価は、学期末の筆記試験50%、提出物40%(毎回の授業ポートフォリオや授業中に取り組むワークシート等を含む)、授業態度10%を総合して行っている。
4.学生による授業評価
「2024年度前期の授業評価アンケート」において、主担当科目のうち2年次前期の選択必修科目「教育原理Ⅰ」の回答結果を得ている。結果より、授業に対する総合的な満足度は【大変満足:74%、おおむね満足:26%】(本学の講義科目全体の平均は、大変満足:61%、おおむね満足:34%、やや不満足:4%、不満足:1%である)であった。学生の評価の傾向はとして以下の二点をあげる。
第一に、「学習内容に見通しがもてる」ことを評価している点である。アンケート結果からは「シラバスに書かれた授業の内容から大きくずれていなかったか」という問いに対して【あてはまる:84%】(全講義の平均70%)、「毎回の授業で学習の目的や目標がはっきりとしめされていたか」という問いに対して【あてはまる:80%】(全講義の平均65%)と、いずれも平均と比べて比較的高い数値となった。
第二に、「授業内容の説明の分かりやすさ」を評価している点をあげる。「教員の説明や指示は明瞭で聞き取りやすかったか」という問いに対して【あてはまる:81%】(全講義の平均64%)、「授業内容の進み具合は適当だったか」という問いに対して【あてはまる:83%】(全講義の平均:66%)と、いずれも高い数値を得ている。
一方で、「事前事後学習に積極的に取り組んだかどうか」に関する問いについては【あてはまる:50%】(全講義の平均:44%)という結果であった。事前事後学習への取り組みについては、全講義を通した本学共通の課題として考えられ、私の担当科目についても例外では無い。本学の学生の実態も踏まえつつ、事前事後学習の量と質を精査することに加え、具体的な取り組み事例を提示するなど、実施方法についても検討が必要と考えている。
5.教育改善への取り組み
教員個人としては、 担当するいずれの科目においても先述の「授業ポートフォリオ」を用いて、学生個々人の学習の取り組みや理解度等を随時把握し、必要に応じて個別の対応に努めたり、次回以降の講義内容や学習事項の提示方法等を調節したりしながら、その都度改善を図っている。加えて、学習事項に関する我が国及び諸外国の最新の動向や、鳥取県の現状に留意し、適宜追加の資料として提示することで、根幹的な内容は踏まえつつも、学習内容を絶えずアップデートしている。
6.今後の目標
1) 短期的な目標
- 自身の授業科目における教授内容の精査及び、関連する他科目との連携
- 「協同学習」の理念をベースとした集団的学びを取り入れた授業の実施・検討
- 学生自身による「学びの省察」の機会を授業内で確保・継続
2) 中・長期的な目標
- 幼児教育の専門性を有した地域のキーパーソンとして、大学での自身の学びを社会に発信できる学生の育成
- 「協同学習」をベースとした互いに「学ぶ集団」としての学生の育成


