助教 山川 智馨
1.教育に対する責任
私は本学において、主に音楽を担当している。授業では課題に対して個別にコメントすることや、個別指導により、フィードバックに努めている。それと同時に、音楽の楽しさやお互いの表現を認め合えるような授業を展開している。ピアノレッスンでは音楽経験が多様な学生1人ひとりの状況に応じて指導に当たっている。また、個人レッスンという性格上、対話や指導をとおして一斉授業では見えにくい学生把握に努めている。
2.教育の理念
私は本学の教育活動において、以下の3点を重視している。
3.教育の方法
上述の教育理念を達成するため、例えば1年次前期の資格選択必修科目「音楽1」では、次のような授業を行っている。
この科目では、将来保育者に求められる基礎的な読譜に関する知識や技能を教授し、その修得を目指している。読譜に関しては、五線と鍵盤の関係、拍子とリズム、反復記号など、保育者として必要と思われる内容を厳選して説明している。その際、関連する歌唱や手遊び、リズム遊びなどを交え、音楽の楽しみを体験することやレパートリーを増やすことができる内容となるよう心がけている。成績評価は、定期試験(筆記)30%、歌唱発表30%、ピアノ実技30%、授業態度10%を合計して行っている。
ピアノレッスンについては、表面的なミスを指摘するのではなく、「なぜそうなってしまうのか」という原因を伝え、改善点や練習方法などについて手本を示して伝えている。また、「今の演奏は自分ではどう思うか」と問いかけることで良かった点や反省点について学生自身が自分の言葉で振り返るほか、習熟度に合わせた選曲や楽譜の使用、グループ内発表会などを行っている。さらに、これまでの座学の授業で扱われた内容についてレッスン時に確認を行うことで、知識の定着や読譜力の向上を目指している。こういった時間は、一斉授業では質問しにくい学生にとって有意義であるほか、どの学生にとっても知識と技能を結び付ける機会となることが期待できる。
4.学生による授業評価
2025年度の授業評価アンケートでは、おおむね全体の平均値と同等の結果となった。「音楽1」では、いずれの質問項目も平均値のおよそ-0.1~+0.2と、比較的安定しているものの、大きな満足感や達成感を得にくいとも読み取れる。この科目で扱う読譜の基礎的な知識は、音楽経験のある学生にとっては簡単であるが、初心者の学生にとっては難しいと感じるケースが多く、それがアンケート結果に反映されているのではないかと思われる。音楽経験の差に関わらず、両者にとって深い学びの時間になるよう、教材選択や説明方法を工夫したい。
5.教育改善への取り組み
授業においては毎回の学生の様子から、説明がわかりにくかった点や理解が難しい点などを把握し、説明方法や板書についてすぐに改善を図るようにしている。今後は授業評価アンケートの結果もふまえて次年度以降に反映させていきたい。


