助教 落合 美貴子
1.教育に対する責任
私は本学において、保育の内容・方法に関する科目「児童文化Ⅰ」「児童文化Ⅱ」、発達支援に関する科目「子どもの理解の援助」、教育実践に関する科目「教育実習Ⅰ」を担当している。1年生前期に授業を行う「児童文化Ⅰ」では、児童文化財の一つである絵本を教材とし、絵本の基礎知識の修得・演習を行っている。これは入学直後の「教育実習Ⅰ」の実践に活かされる。また、1年後期に授業を行う「児童文化Ⅱ」では、絵本の他紙芝居やパネルシアターなどの児童文化財を保育に活用する具体的な方法を演習から学ぶ授業を展開する。ここでは「児童文化Ⅰ」の基礎的な内容を基盤に、実践を見越した応用的な学びを目指す。この科目で修得した学びは、2年間にわたって実施される「教育実習」や「保育実習」にも活かされる。また「教育実習Ⅰ」は、学生が保育者としてのはじまりを意味する科目と捉え、子どもと向き合うことを通して、学生自身が自分と向き合うことを期待するものである。「教育実習Ⅰ」での学びを、次の実習につなげるために、学生自身が保育者像を明確にし、自己課題を見いだせるように、実習事前指導では教育実習Ⅰの意義や保育者としての心構えに関する内容に重点を置き、実習事後指導では実習を「子ども・保育者・実習生」の3つの視点から振り返る演習を行う。2年生後期の「子ども理解と援助」では、「教育実習」「保育実習」から得たエピソードをもとに演習を行い、多面的な子ども理解と具体的な援助を理解し、現場で活きる実践力につなげる科目である。
2.教育の理念
私は、本学の教育活動において、以下の4点を重視している。
3.教育の方法
上述の教育理念を達成するため、教育理念1)のように、学んだ知識や技能を基盤に、「子どもを読み解く力」や「指導計画を構想し実践する力」、「様々な材料を必要に応じて工夫する力」が必要である。そこで、実践事例を演習課題として活用することや地域にフィールドワークの場を求めることやアクティブラーニングを意識した授業を実践する。教育理念2)3)に関連して、実際に保育現場で起こる、保護者対応や初等教育との円滑な接続、特別な支援が必要な子どもへの指導を行うためには、保護者・家庭との関係、他教職員との関係、他機関との関係等を調整する相互調整力が必要となるため、協同学習の形態【ワークシート】を授業に取り入れ、コミュニケーション力を高める。そして、教育理念4)については、めまぐるしい社会の変化によって、保育者に求められる専門性も多様化する現在、子どもを大切に思い、保育者として向上心を持って自分自身が成長していく必要があると考え、保育現場の視点から学生を指導し、「地域に貢献する人材を育成」につなげる。
4.学生による授業評価
2023年度の授業評価アンケートにおいては、全体的に平均値を上回る結果であった。「児童文化Ⅰ」では、質問項目2事前・事後学習への取り組みに関する回答が、全体の平均値3・25より上回ってはいるものの、他項目に比べると平均値3.29と若干ではあるが低くかった。また、学生の自由記述からは、「実践することで理解を深めた」「実践から改善点を見出した」とあり、演習の成果が得られたことがわかった。しかし、学生が、質問項目1の授業の内容に興味・関心に関する回答が平均値3.67であり全体の平均値3.47より上回り、質問項目3の到達目標を達成に関する回答が平均値3.44であり全体の平均値3.33を上回る結果から、ほとんどの学生が興味・関心をもち到達目標を達成したと回答したにもかかわらず、事前事後学習については積極的に取り組めなかったと振り返る学生がいた。今後、実習期間を踏まえた上での課題の内容や分量を設定する必要がある。
5.教育改善への取り組み
学内で開催されるFD研修に参加している。授業公開・見学では、他職員からのコメントからや授業の展開や発問の仕方などを参考にしている。授業においては、担当外科目との関連性を意識しながら、自身の授業を実施している。また、シラバス作成の際に、見直す視点にもなる。学生が何を学べば、卒業後の社会貢献につながるのかを意識し、授業の内容では実社会がイメージできるように、実践事例をもとにグループ協議や保育教材の製作と保育の展開にわたるグループ演習を実施するなど、協同学習の場を意図的に構成している。
6.今後の目標
1) 短期的な目標
- 興味・関心がもてるような教材を工夫し、理解しやすい授業を展開する。
- 学生の主体的な学びを通して、学ぶ喜びが得られるように、経験と理論を関連付け、意味づけをする。
- 学生一人一人の個性を引き出し、集団の中で生かされる場をつくる。
2) 中・長期的な目標
- 附属こども園と連携し、修得しつつある知識や技術を実践し応用する力を育む。
- 協同学習を通して、共生社会実現に貢献する基礎となる相互調整力を育む。
